昨年度より、贈与税の基礎控除が廃止されるという噂がありましたが、実際には行われず、ペンディングとなっていました。
この度発行された「週刊納税通信」最新号のトップ記事によると、今年も基礎控除の廃止は行われないという見通しのようです。
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◆令和4年度税制改正大綱
わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。
今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。
あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。
(21.12.09 自由民主党)
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◆相続税対策の大定番
110万円贈与はなくならない
相続税対策の定番である年間110万円の非課税枠が、今後も存続される方針がほぼ固まった。相続税と贈与税一体化するとの観点から廃止がささやかれてきたが、政府税調と党税調の両税制調査会長がそろって「現実的に難しい」との認識を示した。
代案として、死亡前数年以内の贈与を相続財産として扱う「持ち戻し」の期間を現行制度の3年から延長する見通しだ。110万円の贈与枠がなくならないのはありがたい話だが、持ち戻しが延長されれば相続税対策としての生前贈与は前倒しせざるを得ず、現在の計画を見直す必要が生じる。
(週刊納税通信 22.10.24号)
2022年10月19日 <8:09 > 田中良幸 |