将棋ファンとしては、悲しいニュースとなりました。
◆米長永世棋聖コンピューターに敗北 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120114/t10015268091000.html
第1回将棋電王戦といい、将棋のプロ棋士対コンピュータソフトの初の公式戦。これまでも、非公式対局はありましたが、これが男子プロの本番第1局。
プロのトップバッターは、現日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖。既に引退して8年経ちましたが、名人を含む通算獲得タイトル19期(歴代5位)という立派な経歴。
対するコンピュータソフトは、ボンクラーズ。とぼけた名前ですが、昨年のコンピュータ将棋選手権のチャンピオン。
◆第21回世界コンピュータ将棋選手権 http://www.computer-shogi.org/wcsc21/
コンピュータソフトの実力は、10年前はアマ二~三段でしたが、多数の研究者がこぞって開発を競って、年々急速に進化を続けています。かつては同じ局面では必ず同じ手を指していたものが、今では「学習」するようになり、1度負けたら次は改良してきます。
もちろん、ハード面の進化も見逃せません。皆さんお感じのとおり、PCの進化のスピードも著しいですから、同じソフトでも勝手に強くなることになり、ボンクラーズは、1秒間に最大1800万手読むまでに達していました。
ソフトは、今でも将棋というゲームをすべて解明したわけではありません。極めてしまえば、1)先手必勝、2)後手必勝、3)引分け、のどれかの結論に達するのですが、そこまでは遠く及びません。しかし、人間に勝つことは、それよりはるかに簡単です。
特に、最後まで読みきれる終盤になると滅法強く、1000手を超える詰将棋も、瞬時に解いてしまいます。現状で人間が勝つには、大海原状態の序盤で少しでもリードし、これを慎重に守り切るというパターンしかありません。
昨日の対局でも、人間に勝って欲しい反面、負けてしまうだろうという予想(危惧)が大勢でした。そして、その予想が現実のものになりました。
来年には第2回が予定されていて、今度はバリバリの現役棋士が登場します。いよいよ将棋連盟(プロの団体)としても言い訳がきかない事態になります。
1年経てば、当然ハードもソフトも益々進化します。 でも、まだまだ負けるな人間!
2012年1月15日 <6:37 > 田中良幸 |