田中良幸税理士事務所 トピックス
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税務関係

上場有価証券の評価損に関するQ&A

昨日、国税庁HPに次のQ&AがUPされました。

 ◆上場有価証券の評価損に関するQ&Aの公表について
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/090400/index.htm

これは、下記通達についての解釈です。

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■法人税基本通達 9-1-7(上場有価証券の著しい価額の低下の判定)

 令第68条第1項第2号イ《上場有価証券等の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。

(注)
1 同号イに規定する「第119条の13第1号から第3号までに掲げる有価証券」は、法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券か否かは問わないことに留意する。
2 本文の回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移発行法人の業況等も踏まえ、当該事業年度終了の時に行うのであるから留意する。

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時価が簿価の50%を下回るという形式基準は、単純明快に判定できますし、現在の株価だと山ほどあるでしょう。しかし、「近い将来その価額の回復が見込まれない」という判断ができずに、評価損を計上しないケースが多かったところです。

この点について突っ込んだ解釈を明らかにしたという意味では、有意義なQ&Aです。要するに、自社だけでの判断でなく、第三者判断が必要ということのようです。

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 発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて、専門性を有する客観的な第三者の見解があれば、これを合理的な判断の根拠のひとつとすることも考えられます。

 具体的には、専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、株式発行法人に関する企業情報などを用いて、当該株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されるのであれば、これらに基づく判断は合理的な判断であると認められるものと考えられます。

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今さら、こんなQ&Aを出してきたのは、市場安定化のための政策なんですね。

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 政府・与党は19日、市場安定化に向けた追加対策の中間案を取りまとめた。株価の下落で傷んだ企業財務を支援するため、有価証券の評価損を税務上の費用にあたる損金に算入しやすくし、法人税を軽減することが柱。

 税制による企業支援では、株式や債券など有価証券の価値が取得した価格(簿価)から50%以上下落した場合、評価損の分を損金に算入しやすくし、法人税を軽くする。

 このため、すべての企業が損金算入できるように、政府が新たな通達を出すことを検討する。例えば「企業が損益計算書などに損失を計上した」ことなど、明確な基準を条件にする案が有力だ。これにより、ほとんどの企業が損失分を損金算入できるようにする。2009年3月期決算の企業も対象にする見通し。

(09.03.20 日本経済新聞)

 
2009年4月4日 <6:56 >  田中良幸
 
 
 
 
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