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購入ソフト使わなくても「外れ馬券は経費」

馬券訴訟はいくつも起こされていますが、また影響が大きい最高裁判決が出ました。

◆購入ソフト使わなくても「外れ馬券は経費」
最高裁で確定 国税庁通達の要件否定
1億9千万円の追徴課税処分取り消し 北海道の男性
http://www.sankei.com/affairs/news/171215/afr1712150039-n1.html

所得税の申告で競馬の外れ馬券代を経費に算入できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は15日、「今回の外れ馬券の購入代金は経費に当たる」として国の上告を棄却した。約1億9千万円の追徴課税処分を取り消した2審東京高裁判決が確定した。4裁判官全員一致の結論。

最高裁は27年3月、自動購入ソフトを使ってネットで大量の馬券を購入していた大阪の男性の刑事裁判の判決で、外れ馬券分を経費と認めた。国税庁は改正した通達で経費算入の要件に自動購入ソフトの使用を挙げたが、北海道の男性はソフトを使っていなかった。

(17.12.15 産経ニュース)

元々、馬券払戻金は、基本通達において一時所得に例示されています。一時所得は直接経費しか控除できないので、外れ馬券の購入代金は控除不可という理屈です。

◆所得税法 第34条(一時所得)

一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。

2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額(=50万円)を控除した金額とする。

しかし、本格的に馬券購入に勤しみ、それで生計を立てていたら、雑所得に該当して、外れ馬券の購入代金は控除できることになります。

この所得区分の争いで、前例となった最高裁で「ソフトウエアを使用して・・・雑所得に該当する」と判示されて国が負けたので、通達にその文言のままの注書きを加えたのです。

今回この点が否定されたので、雑所得の範囲を広げるべく、再び通達を書き直さざるを得ませんね。

◆所基通 34-1(一時所得の例示)
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。(平27課個2-8、課審5-9改正)
(1)懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)

(注)
1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。

2 上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。

 
2017年12月17日 <5:55 >  田中良幸
 
 
 
 
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